Shiras Civics

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「人生をどう生きるか」がテーマのブログです。自分を実験台にして、哲学や心理学とかを使って人生戦略をひたすら考えている教師が書いています。ちなみに政経と倫理を教えてます。

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立法とは何か

イギリス人民は、選挙中は自由だが、選挙が終われば忽ち奴隷となるという言葉をルソーは残している。この言葉は今の我々の議会制民主主義を考える上で大きな示唆を含んでいる。今日は議会の主な役割である立法機能について、日本の「国会」を例に考えてみたい。

 

日本国憲法41条に拠れば、国会は「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関」であるとして、国会に立法機関としての地位が与えられている。では、そもそも立法とは何だろうか。

 

立法とは、法律を制定する国家作用を意味する。この場合の法律は、国民全体に関わるあらゆる事項のルールを定めたものである。つまり、不特定多数の人びとに対して、不特定多数の事柄や事件に適用される一般的抽象的な法規範を指す。立法とは、このような一般的抽象的な法規範を制定する国家作用なのだ。

 

ここからルソーの主張を引き出せる。すなわち、ルソーは、立法過程にはあらゆる人が関わらなければならないと述べているが、その意味するところは、法律は政治単位内のあらゆる人に関わるのだから、その制定過程を誰かが代表することはできないということである。だから、政治単位内のあらゆる人の参加が必要なのだと主張している。

 

しかし、近代の国民国家の登場以降、国家という政治単位内の全員が立法過程に直接参加するのは現実的には困難である。したがって、民主主義を掲げる国家は、選挙という形で「全員が立法に関われる」ような制度設計を行った。つまり、全員が立法に関わっているというフィクションを作り上げたのである。

 

フィクション化したのに、代表されている感がないから、投票率が低下した。にもかかわらず18歳に選挙権を拡大したところで、最初はともかく、まもなく投票率は再び低下するだろう。解決策は代表されている感をしっかり出して再びフィクションを信じさせることの他にはない。そして、そうしないと議会制民主主義が成り立たない。