実践する思考

主に社会科学と教育に関して、また読んだ本の書評も書いていくつもりです。

神社の楽しみ方

樹齢数百年の高木に阻まれ、陽光はまばらに射している。場所によっては昼間でも暗く、鎮守の森が古来より続いてきたことを想起させる。俗世とは無縁な静謐な環境は、そこになにか神聖なものを感じさせる。神社に参拝した時、こうした独特の雰囲気を感じられた方もいるのではないだろうか。

 

これらは神社を参拝する大きな魅力だろう。しかし、それだけでは単なるリフレッシュ効果を期待したレジャーに過ぎない。神社を参拝する醍醐味は、その謎解きにもあると思う。

 

たとえば、祀られている神から、その地域の歴史を考察することができる。例として、東京都あきる野市にある阿伎留神社をあげてみたい。阿伎留神社の祭神は大物主神(おおものぬしのかみ)である。この神は水神で、五穀豊穣や国土開発をつかさどっている。こうしたご利益から、この地に移り住んだ人たちが農業の繁栄(五穀豊穣)などを祈って、大物主神を祀ったことが想像できる。

 

それだけではない。神社と地名が同じ場合、地名を考える楽しみも生まれる。阿伎留神社の「阿伎留」は「あきる野市」の由来ともなっている。阿伎留の語源は「畦(あぜ)」を「切る」である。「畦」とは「畦道」のことであり、「畦を切る」とは未開拓地を開発するという意味である。つまり、本来この地域は未開の地であったが、ここに移り住んだ人々が開発を始めた。そこから「畔を切る」が「阿伎留」という名前に転じた。開拓の成功を願う人々は「阿伎留神社」という形で神様を祀り、その成功を祈ったというわけだ。

 

神社の由来を調べる中で、いろいろな想像を膨らませる。その上で神社を訪ねた時に神社の建築様式や規模などを見ると、その神社の建築年代やどれほど人々から崇敬されてきたのかが分かってくる。もちろん、想像で終わらせるだけでなく、文献を調べ、答え合わせをすることが肝心だ。この謎解きこそが私の思う神社の魅力である。

 

全国には8万社以上の神社があるという。まだまだ謎解きができると思うと、楽しみで仕方がない。